ダン・ブラウン作- ダ・ヴィンチ・コード 世界中で7,000万部を売り上げたミステリー小説

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ダヴィンチ・コード
著者:ダン・ブラウン / 翻訳:越前敏弥 / 出版社:角川書店

内容紹介:
 ハーバード大学教授で宗教象徴学を専門とするロバート・ラングドンを主人公とした長編推理小説。同作者の人気小説、オリジン、ロストシンボルと同様に本作でも力強い女性パートナーが登場する。フランス司法警察暗号解読官のソフィー・ヌヴォーという美人女性で、彼女の活躍ぶりを真に見せつけられるのも本作の大きな魅力です。いきなり殺人の現場からはじまるこのダヴィンチ・コードは手に汗握るシーンの連続で構成されているといっても過言ではありません。
 ソフィーとっては祖父にあたるジャック・ソニエールという美術館の館長が謎の死を遂げ、その現場にダイイング・メッセージが残されていたことから話の本筋である謎が浮かび上がる。被害者の孫娘であるソフィーは、事件現場に残されたメッセージが自分だけにわかる暗号であることを確信。このことが、のちに大いに盛り上がるストーリーの起点となっているし、その後に繰り広げられる不可解な出来事や奥深い謎に対しての起爆剤となっていることもたしか。
 身に覚えのない理由から、殺人の容疑者としてフランス司法警察から目をつけられたロバート・ラングドン。のちに力強い相棒となるソフィー。この二人が織りなす、逃亡から事件解明へと続くスリリングな展開は、まさに大傑作のオリジンと同様に刺激的で且つエキサイティング。
 壮大且つ多くの謎に包まれた物語の舞台はフランスからイギリスへ移り変わり、そこでもまたあらたな疑惑が次々と巻き起こる。さまざまな地に足を踏み入れながらも、幾多にもわたる障害を乗り越え、ラングドンとソフィーの二人は謎めいた事件の究明へと迫っていく。

異彩を放つダン・ブラウンという作家の最高傑作「ダヴィンチ・コード」の魅力を探る

Credit photp:jp.wikipedia

 今やいうまでもなく世界的に大ヒットしたミステリー小説の名作「ダヴィンチ・コード」。海外ミステリーの分野において、あまりに有名なこの小説を知らない方は少ないと思うし、小説に興味がない方であってもダヴィンチ・コードというフレーズくらいは耳にしたことがあると思う。実際、ダンブラウン作のこの小説は映画化もされており、小説と同様にとてもつもない興行収入を弾きだしています。全世界においての累計興行収入7億6000万ドル。この天文学数字がどこまですごいものなのか、もはや一般市民の私たちには見当もつかないどころか、想像することすらできません。
 私はこの小説を前から読んでみたいと思っていたし、ふだん通い詰めている本屋やブックオフで見つめようものなら、迷わずに購入する気でもいました。なにしろ本作は44言語に翻訳されたというし、全世界での発行部数は7,000万部という驚異的な数字をたたき出しているのですから。しかも、日本国内に限った話をしても発行部数は1,000万部を突破という、これもまた驚きの数字を記録しています。それほどまでにバカ売れするミステリー小説なるものの内容はどのようなものなのか――私にとっては読まずにはいられない・・・・・・いや、読まない理由が存在しない小説でもあったのです。

 レオナルド・ダヴィンチが描いたモナリザ、岩窟の聖母、聖杯伝説、マグダラのマリア、シオン修道会、オプスデイなど芸術や宗教などに関する要素がふんだんに盛り込まれている本作。ミステリー愛好家としては非常に興味深い作品であるし、この記事に目を通しているあなたも、きっとそのような思いでいるではと私は考えます。私自身、この小説を上・下巻同時に手に入れたそのときは、非常に胸を躍らせながら1ページ目を捲ったことを憶えています。それから長いこと約一年、ようやく最後まで読み終えました。(因みにこの1年という途方もない歳月は単に私が読むのが遅いだけのことですので、気にする必要はありません)

 家の近くにある本屋さんから紙袋をぶら下げて帰ってきたとき、わたしは早速この小説「ダヴィンチ・コード」を読み始めました。数年前に購入したゲーミングチェアにどっかりと座り、NASAが開発したという疲れ目軽減デスクライトの明かりが煌々とページを照らす中、じっくりとそれも無心に。

 殺人の現場からはじまる内容はツカミとしては充分だったし、その後の展開にしても非常に興味深いものです。ただし、それはもちろん、あなた自身がこの小説を読み始めたときにどのようにとらえるのかはわかりません。とはいえ、少なからずともです。おそらくこれから物語の中に引き込まれていくのであろう、といった感覚は確実にあるはずです。

 なにしろ、どう考えても善人にしか思えないラングドンが殺人事件の容疑者として疑いをかけられ、そこへ救世主ともいうべきソフィーが登場するや、たちまちストーリーは二人の逃亡劇へと転換していくのですから。私は個人的に「2人の人物がともにタッグを組んで前に突き進んでいく」というストーリーが大好きで、それはいうなればバディ物と言い換えることもできます。特に性別に左右されることはないです。要するに男と男、あるいは女と女、さらにはこのダヴィンチ・コードのように「男と女」であってもです。

 あなたがどのようなミステリ小説を好んでいるのかはわかりませんが、もし仮にこのダヴィンチ・コードを読む機会が得られた場合、そのときはラングドンとソフィー、二人が逃亡している最中の巧妙なやり取りや、謎めいた事件に迫っていく途中に助け合う勇ましい姿に注目していただきたい。それが本作一番の読みどころであり、また胸を打つ瞬間でもあるのですから。

フランスから始まるストーリー

たいがいのミステリー小説は冒頭部分で読者の心をぐっと掴むことに成功しています。このダヴィンチ・コードも然り。フランスのホテル「リッツ・パリ」に宿泊中のロバート・ラングドンに、突如として襲いかかる"殺人容疑”。ハーバード大学教授という肩書きであるからにして、読み手のこちら側としては「ロバート・ラングドンという男性は良識ある生真面目な男性」という固定観念を抱きつつ読まざるを得ない。それは無条件にです。実際、私自身がそうでしたし、これから読もうとしているあなたにしても同様だと思います。たしかに彼、ラングドンという男性は実直で紳士的な男性というキャラクター設定のようですし、それは行動をともに暗号解読官「ソフィー・ヌヴォー」にしても同じことがいえます。本文を読む限り、彼女は非常に容姿端麗なようだし、頭もすこぶるキレる。控えめで慎重な性格のラングドンが勇気を振り絞ってあらゆる局面へと立ち向かっていく様も心を揺さぶられますが、同時に女だてらに気丈な振る舞いで、謎に迫るソフィーにも注目していただきたい。
 持ち前の知識と洞察力をフルに使い切って事件真相へと迫っていく彼女の姿は、ダ・ヴィンチ・コードという物語の世界において絶対的な存在であり、なくてはならない存在なのですから。

作中に存在するのは実在する場所、それだけにダヴィンチ・コードには膨大な蘊蓄が含まれている

Credit ja.wikipedia.org/

結構な文字数で書かれたこの小説には、各シーンごとに視点が変わり、それぞれの登場人物が胸に秘めている企みや切なる想いが事細かに書かれています。企みといえば、それは当然、ラングドンの周囲を取り巻いている人間たちの中のある人物のことで、切なる想いは主人公であるラングドンとソフィーが心中に宿している心の根源のことです。無論、それらの心理描写は物語の中心人物であるロバートラングドンが主となっていますが、パートナーであるソフィー・ヌーヴォーが胸に抱く様々も想いも随所にちりばめられてもいます。巧みな心理描写とともに、否応なしに頭の中に浮かび上がる情景描写も相まって、読み手であるこちらをぐいぐいと神秘的な物語の中に引き込んでくれることは間違いなし。

文体にしてもかなり読みやすい。とはいえ、小説の文体というものは人によって好みの違いがあるので一概にはいえないし、読む人によってはこのダヴィンチ・コードに書かれているような文調を毛嫌いする方もいるかと思う。私個人的にはとても読みやすいし、内容をすんなりと理解しやすいと、そう感じました。翻訳物ですが、あなた自身、実際にこの作品を手に取って読んでみてほしい。

 本作はスリリングでスピード感がある、ということを多くのレビュワーが唱えていて定評ともなっています
が、一定間隔で多くの蘊蓄が夾まれているということも事実です。正直言うと、それらの膨大な蘊蓄に嫌気がさす方もいるかと思う。要するに、この翻訳小説には小難しい専門用語やふだんあまり目にしないような日本語がたくさん出てくるということが一つあります。元々宗教や聖杯に関する知識をある程度のお持ちの人ならそうでもないのかもしれないが、そのような知識をまったく持ち合わせていない凡人の我々には些かちんぷんかんに感じるかと思う。

 事実、私自身も読みながらそのようなジレンマと戦ってもいました。そのたびに、より神経を集中させ、注意深く活字を拾いながらも、必死になって内容を理解しようと・・・とはいえ、所詮はなんの知識もない私。そのように意気込んだところで、やはりさっぱりです。それでも、そのへんのところさえクリアーになってさえしまえば、最後まで読むことはなんら苦痛ではありません。地の文で構成された難しい内容は一定間隔で導入されていますが、それと平行して「このあとの展開はいったいどうなるのか」といった期待を抱かせる流れもほどよい感覚で配置されてもいます。どんなに読むのが速い人でも、それ相応の時間がかかると思われるこの「ダヴィンチ・コード」ですが、一旦ページをめくろうものなら、きっと最後で読まずはいられないはずです。

 いずれにしてもです。日本語に訳すとかなり難しい語句や文言になるのにも関わらず、想像するだけで難解な英文をよくぞそれらの日本語文に訳せたなと、深い関心を憶える部分でもあります。この小説「ダヴィンチ・コード」を非の打ち所のない日本文に訳した越前敏也氏は、ほんとうにすごい人だと私は痛感させられました。

迫り来る脅威と謎に真正面から向き合い突き進むラングドンとソフィー。

ロバート・ラングドンを演じるトム・ハンクス credit photo:wikipedia二人の感情の起伏や葛藤、また危機脱却への勇ましき心情。読書家のあなたなら、いつの間にか魂を揺さぶられることになるはずです。
当然ながらラングドンとソフィーが向かう先には行く手を阻む人物や出来事が待ち受けています。それらのハードルを二人がどのようにして乗り越えていくのか。そこがまさにこの小説を楽しむ醍醐味であるし、また時間を忘れて没頭してしまう理由の一つでもある。
知的なロバート・ラングドン、女性ならではの視点と感性で謎に一歩踏み込むソフィー。元々性別が異なる二人は大学教授と警察関係者という異なる職種に属する人間であって、それだけにものの捉え方にしても随所で異なってもいます。それでも二人は口論となることは一切ないです。きっとあなたもこの小説をい読んでみればわかると思いますが、物語が進行していくにつれ、二人の間に愛情のようなものが芽生え始めていることに気づくはずです。文章自体には、そのようなことが具体的に書かれているわけではありませんが、そんな雰囲気が要所要所で感じ取れる。この小説は恋愛小説ではないので、そのへんが強く強調されているわけでありませんし、とりわけてラブシーンも出てこない。けれども、ある場面ではにさりげなく書かれているセリフや言い回しには男女の恋愛感情を仄めかす一文があったりもするのです。ロバート・ラングドンという男性がソフィー・ヌヴォーという女性に対して恋こごろを抱いたのかどうかは定かではありませんし、現にラストシーンに至るまでにもそのことが明確になることもありません。でも、私はそんなロマンチックともいえようシーンが書かれたページに目を落とすたびに、「ロバート・ラングドンという男性はきっとこのような外見なのだろうな」とか、「ソフィー・ヌヴォーという女性は、おそらくこのような容姿をしているのだろうな」などと勝手に妄想を膨らせていたりもしたのです。そんなひとときも、また楽しいものです。

ルーブル美術館の館長「ジャック・ソニエール」が死の間際に残した謎の暗号

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 不規則に並べられた数字や、なにやら謎めいた文字。美術館の館長でもあるジャック・ソニエールが何者かに殺害された際に残した文字は、一見するとなにを意味しているのかよくわからないが、そこにこそ深い意味がこめられていたのです。私個人的には暗号というものがあまり好きではなく、このダヴィンチ・コードを読み始めたときも、その部分についてはあまり興味を惹かれることはなかったです。むしろ、暗号に関する内容が捲ったページに現れてくるたびに少々苛ついていたこともたしかです。意味不明な数字を見たときは、小説ではなくクイズを解いているような気分にさせられますし、それは私にとって壮大なストーリーを味わう、ということから少しばかりかけ離れていた感があったこともたしかです。それでも、どんどんと読み進めていくにつれてダン・ブラウンが描く壮大な物語へと誘われていったこともまた事実。海外ミステリー小説ということで人によっては敬遠する方もいるのかのしれない。でもです、ここは一つご自分の固定観念はひとまず捨て去ってほしい。この本作「ダヴィンチ・コード」には実に多くの楽しみ方が潜んでいるのですから。

暗号に隠された謎を自分なりに解き明かす。

本作はめまぐるしくストーリーが展開していきますし、それがまた物語に引き込まれる要素となっているのも間違いありません。そしてこの数字にこめられた意味を解読しながら読むのもまた良し。あるいは作中に過剰なまでにも盛り込まれているキリスト教や聖杯伝説についての知識を深めつつ、読み進めてゆくのもまたいいかもしれない。もちろん、主人公のロバート・ラングトンと一心同体となってページをめくり続けるのも大いにありです。
いずれにしても、上と下(文庫の場合は上・中・下)とかなりの長文で書かれている本作は、膨大な蘊蓄に振り回されるということが無い限り十二分に読み応えのある小説なのです。

本作は、多視点とはいえども二人を中心にして物語は進んでいくので、
物語の冒頭部分で危うく難を逃れたラングドンですが、それでも事態はあらぬ方向へと傾き始めていく。ラングトンとソフィーは逃亡を余儀なくされることに。窮地に追い込まれていた二人だったが、互いに手を取り合い事件の解明へと迫っていきます。それも実に生々しく、しかもそれは詳細なまでにあらゆる登場人物の視点から描かれています。
ルーブル美術館の館長であるジャック・ソニエールが何者かに殺害される、といった衝撃的なプロローグで始まる本作。三人称多視点で書かれた物語は節ごとにめまぐるしくシーンが切り替わり、まさにストーリーの表と裏の進行具合をじっくりと読ませてくれる。

ダ・ヴィンチの傑作とされる絵画、古代の暗号学、秘密結社の謎……これら全てがひとつにつながり、鮮やかなパズルを形作っているのがこのミステリー小説「ダ・ヴィンチ・コード」。
しかし、複雑な謎を解読するのは容易ではありません。あなたがダ・ヴィンチ・コードの世界に没頭し、その秘密を解き明かすためのヒントを見つけられたのならそれは素晴らしいことだと思う。
 古代の暗号学、ダ・ヴィンチの作品に隠されたメッセージ。是非本を手に取って解読してみてください。私には到底不可能でしたが、あなたにならできるかもしれません。

あなたもダ・ヴィンチの世界に身を置き、その秘密を解き明かすための冒険に出かけましょう。ダ・ヴィンチ・コードの魅力的なパズルがあなたを待っています!

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